企画展「学校のおもかげ」
学校は地域の方舟
学校は教育の提供の場であることはもちろん、児菫•生徒だけではなく、保護者や教職員、地域住民との交流の場として社会的な結びつきを推進する機能があり、今日まで地域コミュニティにおける重要な役割を果たしてきました。また、教育プログラムに地域史や民俗芸能等を取り入れることで、地域文化の特色を学びアイデンテイティの醸成がはかられるなど、地域人材の育成や地域行事の参画を通じた社会活動にも深く関与し、学校は地域に不可欠な存在として、その発展に大きく貢献してきました。
全国的な少子化や人口減少が加速する近年において、令和4年度末をもって奥州市江刺地域では小学校
7校が統廃合し、これを受け奥州市教育委員会とえさし郷土文化館では閉校施設の調査ならびに資料収集活動を実施しました。
調査の結果、各校ともに概ね戦前からの学校運営に関する文書や資料、古写真等の記録など学校の歴史や発展を語る上で極めて重要な情報源が良好な状態で保管されており、また、地域ゆかりの画家による作品などの美術品、考古資料などの文化財、学校の授業やイベント時に作成された児童・生徒作品など、各校において文化芸術活動の一環として保存・活用されてきたものや校歌の譜面、民俗芸能活動の諸道具などの伝統や地域性を示す資料群を確認し、それらを収集の対象としました。とりわけ学校に地域の歴史・文化・地理·自然などに関する資料が集積されていたことが顕著な点は、地域に博物館等の社会教育施設が設置される以前から学校や教職員がその担い手としての 役割を果たしていたことを表わしています。
これらの地域資料を含む「学校資料」は今後の教育活動や地域史研究の原資料として広い利活用が期待できることから、金沢大学学術メディア創成センターの支援を得ながら、資料整理ならびにデジタルアーカイブを活用した学術分野への情報発信、さらに実物資料の公開を通じ地域と学校、そして博物館施設を結ぶ新たな交流点としてのプラットホームの構築を目指し、学校資料を介した地域の特徴や各学校の特色について再発見し、地域史研究に資する「学校資料」の意義を探る機会にしたいと思います。
- 共催
- えさし郷土文化館
奥州市教育委員会
科学研究費助成事業:挑戦的研究(萌芽) 22K18485
- 協力
- 金沢大学学術メディア創成センター
合同会社AMANE
- 会期
- 2023年8月11日(金)~10月1日(日)
- 時間
- 9:00~17:00 会期中無休
- 会場
- えさし郷土文化館 第二展示室
- 入館料
- 通常の入館料でご観覧頂けます。
※未就学児童無料
※奥州市民は市民パスポートの提示で入館料半額